翻訳会社WIPグループさまのサイトリニューアルをお手伝いしました。

創業25周年をひかえる翻訳会社WIPグループさまのサイトリニューアルにおいて、デザインをのぞく「言葉まわり」をコピーライターとしてお手伝いさせていただいた。

言葉顧問としても中長期的に関わらせていただいた約8か月にもわたるプロジェクトは、大きくわけて以下の5つの流れで進めていった。コンセプトをしっかりつくることがいかに大切かを確信できる貴重な時間になったと感じている。

 
サイトリニューアルの流れ(コピーライターの場合)

STEP1. ヒアリング

まずは経営陣の方々をはじめ、最前線の現場で翻訳と日々向きあっている社員の方々にヒアリングを実施。すると、「翻訳会社に対する世の中のイメージと、翻訳会社の本当の姿とのあいだにギャップが生じている」との回答が多く見受けられた。結果として、「翻訳が実際よりも簡単な “作業” だと思われてしまっている」との課題が浮きぼりになってきた。

 
STEP2. コンセプト

ヒアリングで見つけた課題をサイトリニューアルによってどのように解決していくか。プロジェクト全体の方向性を示すコンセプトをつくるために、そもそも「翻訳会社」という言葉の定義からもう一度、見直してみようと考えた。

ときには、その道を極める職人のように、それぞれの国や文化、習慣のちがいを細やかに感じとりながら。ときには、コンテンツを生みだすクリエイティブな発想力で、さまざまな最新の翻訳技術や、翻訳以外の視点をも巧みに組みあわせながら。ただ「翻訳をする」のではなく、むしろ「翻訳をつくっている」。

そんな翻訳会社が本来有している「クラフトマンシップ」や「クリエイティビティ」をもっと強く伝えていくために、「翻訳会社とは、翻訳をする会社ではなく、翻訳をつくる会社だ。」というコンセプトを据えた。

 
STEP3. コピーライティング

コンセプトをもとにサイトリニューアルの「メインコピー」と「メッセージ」をつくる段階へ。

シンプルで無駄のない訳出を目指す翻訳会社が掲げる言葉だからこそ、シンプルで無駄のないものにしたいと考え、コンセプトをそのままシンプルに表現した「翻訳をつくる会社。」というコピーを書いた。

コピーに対するメッセージ部分は以下の通り。冒頭でコンセプトをしっかりと宣言しつつ、ヒアリングで掘りおこしたコンセプトの種になってくれた言葉たちをまとめあげるように構築していった。同時に、翻訳を軸にした未来への展望が広がっていける余白も残せるように締めくくった。

私たちは、 翻訳をする会社ではなく、「翻訳をつくる会社」です。

 
翻訳とは、
単なる言葉の置きかえではありません。

 
ときには、その道を極める職人のように、
それぞれの国や文化、習慣のちがいを細やかに感じとりながら。

 
ときには、コンテンツを生みだすクリエイティブな発想力で、
さまざまな最新の翻訳技術や、翻訳以外の視点をも巧みに組みあわせながら。

 
私たちは、
最高のお客様たちと手を取りあいながら、
最高の翻訳者たちと、最高の翻訳をつくりあげます。

 
そして、翻訳人材の育成はもちろん、
翻訳を軸にした新しい事業や取り組みにも果敢に挑んでいきます。

 
翻訳の未来をつくるために。

 
STEP4. プランニング / サイト構造設計

コンセプト、メインコピー、メッセージが決まり、プロジェクトの方向性がしっかりと言語化されたところで、具体的なサイト構造を設計する段階へ。

ここでも、ただの「翻訳会社」ではなく「翻訳をつくる会社」として位置づけるコンセプトをもとに、ナビゲーションやページ構成を考えていった。また、翻訳の本当の姿を伝えていくために運用することになった新規オウンドメディアのプランニングやカテゴリ設計などについても、コンセプトをしっかりとベースに据えながら構築していった。

 
STEP5. サイトライティング

サイト構造が決まったら、最後はサイト文言をつくる段階へ。今回のプロジェクトでは、一部のページについてのみライティングを担当させていただいた。

旧サイトのページ数が予想以上に膨大で最初はどうなることかと思ったけれど、コンセプトに立ちかえることで方向性に沿わないページをカットする決断がしやすかったこともあり、サイトリニューアルの作業を削減できたのではないかと思う。

結果として、既存ページのリライトと新規ページのライティングを必要最低限に絞ることができたため、担当させていただいた箇所については、その一言一言にコンセプトを染みこませるようにじっくりと向きあうことができたと実感している。

 
以上が、プロジェクトの流れである。

振りかえってみると、常に心がけていたことは「なにかを決めるときや、なにかに迷ったときは、コンセプトに何度でも立ちかえる」だったように思う。それこそが長期にわたるプロジェクトをお客さんとともに最後まで同じ方向を見据えながら乗りこえるためには大切なポイントになることを確信した。コンセプトをつくるコピーライターとしてやれることはまだまだたくさん残されている。

もちろん課題もあって、とくに個人的な部分でいえば、コピーライターとしてだけではなく、デザインについてもコンセプトをベースにディレクションできるようにならなければいけないなと感じた。

 
さいごに余談だけれど、かつて翻訳会社の中国法人の立ちあげに参加し、現地法人の責任者として3年ほど経営のはしっこに携わらせていただいた身としては、お世話になった翻訳業界のコピーを書けたことがとても嬉しかった。

もしかしたら、ヒアリングを通して生まれた「翻訳会社とは、翻訳をする会社ではなく、翻訳をつくる会社だ。」という今回のプロジェクトの根幹に据えたコンセプトは、自社の中国語翻訳を売りだすために中国の大連市で必死に空回りしていた当時の自分が、翻訳に対する世の中のイメージに対して「なにくそ」と反骨心を煮えたぎらせていたときの気持ちと同じだったのではないかと思う。

あのころ翻訳業界でともに仕事をしていた翻訳者さんや翻訳会社さん。そして、今も中国法人で働いてくれている当時のメンバーたちに、今回のプロジェクトのメッセージがすこしでも届いてくれたら嬉しい。

ありがとうございました。

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