新型コロナウイルス対策コピープロジェクト(終)

緊急事態宣言が解除されたことを受けて、緊急事態宣言が出されてから続けてきた「新型コロナウイルス対策コピープロジェクト」もいったん終わりにしようと思う。コロナの「ロ」にチェックを入れて終わらせてしまいたい。「コロナ」という言葉を目にしすぎて、そんなよくわからない妄想すら浮かべた日々がこのまま無事に終わることを祈りつつ。

きっかけはこちらのツイートだった。こんな見知らぬコピーライターからの怪しい呼びかけに思ったよりも多くのご相談が届いた。実際にやってみて嬉しいことだけではなく悲しいこともあったけれど、実際にやってみないよりはマシなのでよかったと感じている。下記にいくつかの事例と感想をまとめる。

 
1. 「閉店しません。」「只今元気に休業中」

新型コロナウイルスの影響により一時休業していた京都のイタリアンバール「IL LAGO」さまのコピーを書いた。

オーナーの堀田さんから「一時休業中の今だからこそお店のシャッターになにかメッセージを貼りだして伝えたい」とのご相談をいただき、そんな前向きな堀田さんらしい言葉を探した。

結果として「Lmaga.jp」で取りあげられ、「Yahoo!ニュース」などにも掲載された。

「閉店しません」、イタリア料理店のポジティブな貼り紙が話題に(Yahoo!ニュース)
「閉店しません」、ポジティブな貼り紙が話題に(Lmaga.jp)

コピーはフリーで公開しているのでご自由にどうぞ。

 
2. 「仕切りなおそう。」

新型コロナウイルス対策で使用されるアクリル板やビニールカーテンなど「仕切り」のイメージを前向きに変えたい。そんなご相談を受けて書いたコピー「仕切りなおそう。」が静岡県浜松市発のストアで使用された。デザイナーはいつも忙しそうなふりをしている松尾聡。

今さまざまな仕切りに掲げられている「お客様へ」のすこし恐縮しすぎな言葉や貼り紙がポジティブに変わることで「仕切りなおそう」と前を向く力がすこしでも生まれてくれたらうれしい。

こちらのコピーもフリーで公開しているので下記のツイートからご自由にどうぞ。

 
3. 「ごはんつくっておきました。」

「テイクアウトはじめました」よりも一歩踏みこんだ言葉でテイクアウトをはじめたい。そんなご相談があったので一歩踏みこんだコピーを考えてみた。

わたし自身も自炊疲れ気味だったので「こんなことを言われたら『ありがとう』とお持ち帰りしてしまうかも」と思える言葉を探した。

こちらのコピーもフリーで公開しているので下記のツイートからご自由にどうぞ。

 
4. 「靴を脱ごう。」

池袋の婦人靴専門店「レディースキッド」さまのコピーを書いた。

創業60年以上にわたり歩きつづけてきた店舗を一時休業される際にご相談をいただき、「ステイホーム」の今に老舗だからこそ掲げられる言葉として靴屋さん自らが「靴を脱ごう」と呼びかけるメッセージを選んだ。不要不急の外出中の方々がすこしでも「ステイホーム」を考えるきっかけになることも願いながら。

コピーを起点にしてオンライン講座も開催され、これからも「靴を通して女性の心と体を支えたい」との想いで歩きつづけようとする強さにわたし自身も励まされた。すこし気恥ずかしいところもあるけれど、わざわざ担当者の方が今回の取り組みに対する気持ちを率直に書いてくれたので下記に紹介しておく。

靴やさんのことと、ありふれたできごとのことと、コピーライティングのこと。

 
さいごに

プロなのに無償でやるなんて。

そんなことを良い意味でも悪い意味でも言われたけれど、そのどちらもちがう気がした。残念ながらボランティア精神なんて高尚なもので他人のためにやれるほどわたしの良心はピチピチじゃない。こんなときに自分は言葉だけで本当に役に立つことができるのか。それはあくまで「自分自身のための」勝手な実験である。だから無償でやることにしただけだ。

すくなくとも「お世話になってるクライアントでも厳しいところが増えてきましたけど、おかげさまでうちは大丈夫です。アフターコロナのコピーライティングについてオンラインで語りましょうよ」などと酒を呑んでいる場合ではないと思った。なぜなら、そのクライアントは自分が厳しいときに助けてくれた相手であるはずだからだ。

とはいえ、いつまでもこのプロジェクトを続けるわけにもいかなそうだ。わたし自身も持続化給付金が届くほど、おしりに火がつきはじめている。はたして持続可能な人生や働きかたとはなんなのだろうか。そんなこともすこしは考えてみたけれど、なにごとも「持続しよう」なんて思ったらおしまいな気がしている。とりあえず、これからも目のまえのことを一つひとつやっていこう。おしりの火をエンジンにして。

ありがとうございました。

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